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2代目経営者・後継者のための経営情報サイト
me;rise(ミライズ)に掲載

先端的ソリューションで未踏の地を切り拓く。

メモリー株式会社
中村 憲広

とんがったスタイル メモリー株式会社はどんな会社なのですか?

はい。①ビジネスソリューション、②ライフパートナー、③ロボット&テクノロジー、④ヘルス&ビューティーと、4つの事業を展開しています。

【ビジネスソリューション】は、BtoBの仕事です。企業様へIT、セキュリティ対策や色々なオフィス機器やソフトウェアを提供しています。業務の効率アップ、コスト削減を通して企業のコンサルティングをしていくサービスです。

【ライフパートナー】は、婚活みたいな事業に聞こえますが、実はペットとの共生を実現するコンサルティングサービスです。近年ペットの病気が増えてきています。その理由は食餌と言われています。ドイツのオーガニック食材で作った最高のペットフードを企画・製造し、世界中に向けて販売をしています。

【ロボット&テクノロジー】は、少子高齢化による労働者不足の解決を目的に発足。物理的なロボットからRPAといったパソコンの中で活躍するロボットまで幅広く提供しています。ロボットで出来る仕事はロボットに置き換え、人にしか出来ない仕事に専念して頂くこと。ユーザー様自身の付加価値を最大限に高めて頂くコンサルティングを行っています。

【ヘルス&ビューティー】は、世界中のオーガニック先進国から選び抜いた良質な健康食品やコスメ、日用雑貨を輸入・販売する事業です。信頼性の高い第三者機関による厳しい審査基準をクリアし、オーガニック認定を受けたものだけを厳選。共同開発によるオリジナルブランドも積極的に手がけています。

一見すると事業内容がバラバラな感じがしますよね?でも、基本的な軸として「ストックビジネス」というところは外していません。一度、お客様に使っていただけると、ずっと継続して使っていただけるような、そんなビジネス展開を行なっています。とはいえ、なんでも揃えている雑多的なところは、父が始めた頃のお店と一緒で、無意識に引き継いでいるのかもしれませんね(笑)。

お父様の頃のメモリーはどんな感じだったのですか?

私が小学生の時、父は雑貨屋を営んでいました。店の前に大きなビンがゴロッと出てくるコカ・コーラやポッカの自販機があって。小さな店内では、米、醤油、アイスクリーム、肉まんとか、文房具からファミコン、プラモデルまで売っている。ひと言では説明できないようなお店でした。

でも父の本業は、測量士と行政書士でした。測量士って土地を測る時にメジャーを使いますよね。そのメジャーに目盛が付いています。社名の「メモリー」はそれをヒントに付けられました。面白いですよね(笑)。10坪くらいの、本当にガレージみたいなお店でした。しかも、父は外に働きに出ているのでほとんどお店にいないんです。働いていた女性スタッフ2人で切り盛りしていました。私は、そんなお店の子でしたから、小学校では「メモリー」ってニックネームで呼ばれていたんですよ。あの頃はそれがイヤでたまらなかったですね。

中村社長は、社長になられる前、どんな感じだったのですか?

子どもの頃は、「宇宙人」って呼ばれていました。自覚はなかったんですが、周囲から見ると相当変わった子だったんだと思います。大学生の頃には今度は「変人」と呼ばれるようになりました。

あの頃は「世界で働きたい」という思いを持っていまして。石油を売ったり、ジャンボジェットを売ったり。世界を股にかける大きなビジネスに憧れて、大学生の頃にはバックパックを背負って色々な国々に行きました。そこで様々な価値観や考えと出会いました。いつしか自分のチカラを試してみたいという気持ちが湧いて来るようになり、何かできないか?とあたりを見渡すと、あれ?実家が面白いことをやっているじゃないか!と(笑)。それで大学3年生の20歳頃からメモリーの仕事を手伝うようになったんです。手伝うと言っても父はほとんどいないわけですから、私が「こんなものがあるといいんじゃないか?!」と考えたものを取り入れていった感じです。

正直な話、家業を継ぐ気はありませんでした。自分の会社を作りたいけどお金がない。だからお金を稼ぐために実家を利用したのがキッカケでした。安いものを売っていてもお金にならないので、父が取り扱っていた高額なコピー機に目をつけ、企業向けに営業を始めました。ところがこれが売れない。新規の企業の訪問を重ねるうちに、「コピー機を導入しても、壊れたときに営業が対応してくれない」といった不安をよく耳にしました。これがヒントになり、メンテナンスサービスもセットにして提案すると、少しずつ受注できるようになったんです。これが、【ビジネスソリューション】事業の原点になるのですが、商売における大切なことを学びました。

1つは、お客様の声にはビジネスのヒントが眠っていること。もう1つは、中小企業は他と違うことをやらないと軸が立たないということ。そして、25歳の時には父から会社を譲り受けて、晴れて自分の会社を持つことができました。

「とんがったスタイル」というのは、社長が考えられたのですか?

そうです。私が会社を引き継いだ時に考えた企業スローガンです。知名度の低い中小企業の場合、他社と同じことをやっても存在価値がないんです。私たち中小企業に存在価値が生まれるのは他社と違う良いところを磨いてピカピカに光らせた時だけ。そうじゃないと生き残っていけないという思いがこのキャッチコピーに込められています。

学生時代に海外に行ったからこそ分かるんですが、日本人って均質性といいますか、同質性の強い国民だと思うんですよ。良い部分では、争いを好まず、みんなが比較的優しいところ。悪い部分は、見渡すとみんなが同じことをしているということ。ビジネス用語だとレッドオーシャンで、付加価値が生まれにくいんですよ。だから私たちは、他の人たちがやらないことをやって勝機を見つけてやろうという姿勢で仕事をしています。

独自性について、具体例があったら教えてください。

【ライフパートナー】事業のペットフードが良い例だと思います。一般的なペットフードは、1缶100円くらい。ですが私たちは1缶600円のものを作りました。6倍の値段です。最初、周囲からは「売れない」って言われました。「高いし、エコじゃない」と。しかし、その商品が売れたんですよ。なぜか。ペットにも「安心安全で本当に良い食材を使ったものを食べさせたい!という人はいるんです。でもそのような商品が今までなかった。製造者や販売者が高くて売れるとは思わなかったから、誰も作らなかったんです。そう、世の中になかったんです。

現状の市場と同じことをやっていたら、こういう商品は絶対に生まれませんでした。一般的に「普通」と言われていることを、まずは疑ってみる。そしていろいろ調べてみる。思いついたものが、なぜ作られていないかを考えて、勝機があるのならやってみる。先述したペットフードは、ドイツに会社を設立し、ドイツで300年以上の伝統をもっている会社と提携してオーガニック食材を使って製造しました。ドイツでオーガニック食材を生産できるのは5%の農家しかありません。そんな希少な食材を普通はペットのエサなんかにしません。でも、チャレンジしてみる。直感的に、買う人はいると分かっていました。他が発想しないことにアイディアと魂を込めて、商品作りをして、展開していくとはこういうことだと思います。

「とんがったスタイル」を貫くために、意識していることはありますか?

IBMのトーマス・ワトソン会長はビジネスに「野鴨の哲学」を取り込みました。野鴨はエサを求めて1万キロにおよぶ旅をする渡り鳥です。しかし、この野鴨にエサを与えてしまうと旅をしなくなってしまうんですね。安易なやさしさが、1万キロも旅ができる可能性を潰してしまうんです。IBMでは社員に対してたくましい「野鴨たれ!」と伝えており、一方で「野鴨にエサを与えてはいけない」という考えかたがあるそうです。

これをヒントに私が行なっているのは、社員の可能性を潰さないことです。私と父は親子ですが、別人ですし、別々の考えを持っています。社員1人ひとりもそう。だからこそ、画一的な社員をつくるのではなく、1人ひとりの個性を活かせる仕事環境であるように気を付けています。ポイントは、「上から命令する」のではなく、「一緒にやっていく」ですね。最初こそ私は入りますが、PDCAを回してある程度目途が立ったら、一緒にやってくれていたメンバーにパスしています。

ウチはダイバーシティですよ。多様性を認めていて、メモリーの会社そのものを面白いと思ってくれる人材が集まっています。一般的な会社ではちょっと活躍しづらい個性が強いタイプの人でも大歓迎です。すごく良い子ばかりなんですよ。そして、ちょっと余所と違う発想で商品を考えてくれるので、環境づくりはある程度成功しているんじゃないでしょうか。

今後の展開についてお聞かせください。

私は、日本だけじゃなくて、世界で戦える会社にしたいという思いがあります。「世界」というと、事業規模が大きいのを想像されるかもしれませんが、そんなことはなくて、ニーズに適したものを作れば、海外展開は実現可能と考えています。

例えば、先ほど例に挙げたペットフード。ドイツは日本よりもペット同伴OKの店が多く、マーケットは日本の4倍といわれています。ドイツに限らず、海外は市場規模も大きいので狙っていきたいと思っています。そういう意味で、当社の今の立ち位置はスタートライン。まだまだこれからです。

「ポルシェ」ってあるじゃないですか。世界的企業ですが、会社規模は車のメーカーの中では、実はそんなに大きくないんですよ。でもポルシェって聞いたら、みんな知っていますよね。ポルシェの社長で面白い言葉があります。ポルシェ911 カレラはポルシェの精神を具現化したようなクルマなのですが、社長は「同じ通りでカレラを2台見たら危機感を覚える」と言っているんです。どういうことかというと、知っているが滅多に見ることができない、希少性というのを一種の価値としているからなんだそうです。だから、車の数を作らずとも会社の売上を作れるんですよ。

私たちもそういうポジションを目指したいと考えています。社員にいつも言っているのは、私たちは「ブランド創造企業」だということ。こう捉えると、それほどまでに規模を追う必要がないんです。

今は、採用にも力を入れています。私たちの理念に合う優秀な子を世界中から集めようと、ウェブで面談したり、直接会ったり、世界中の優秀な学生と話をしているところです。

最後になりますが、どんな人と一緒に仕事をしたいですか?

これまでは「ヒト・モノ・カネ」という時代でしたが、これからは「ヒト・ヒト・ヒト」の時代だと思っています。特に、私たちがやろうとしているビジネスって、ブランドの創造。だからこそ人ありきでやっていかないといけないんです。ブランドを作るためには共感される新しい世界観が必要で、そういうものに興味がある、スピリットのある人と仕事がしたいと思っています。

もちろん、最初からできる人はいないので教育はしていくのですが、この教育も難しいですね。均質化させると個性を殺してしまいますから。何を教えて、何を教えないか。このあたりは考えていかなければなりません。「採用」と「教育」、この両輪をちゃんと回していく。教育をしすぎると洗練されちゃって、どこにでもあるような会社になってしまうので、少しの未開の余地を残しておく。社員の個性と主体性を発揮できる体制を維持しつづけていくのは、経営者である私の重要なミッションだと考えています。

※インターネットの記事を転載しています。

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